豪ドル/円相場は、2月27日の92.96円をボトムに、足元では99円水準まで上値を切り上げる展開になっている。2月下旬はイタリア政局に対する警戒感などから豪ドル買い・円売りポジションの解消を進める動きが目立ったが、本格的な混乱状況には発展しなかったことで、改めて豪ドル買い・円売り圧力が強くなっている。
今月のオーストラリア準備銀行(豪中央銀行、RBA)金融政策決定会合では、「必要なら追加緩和を行う余地をもたらすだろう」との声明があったものの、従来よりも追加緩和実施に向けてのトーンは明らかに後退している。中国経済の回復傾向や、これまでの緩和効果もあって豪経済の地合が強まる中、塚支援策の必要性が後退している。目先は14日に発表される豪雇用統計が焦点になるが、ここで大幅な悪化が回避されるのであれば、豪ドルサイドから豪ドル高・円安トレンドに修正を迫るのは難しいだろう。対ドルでも豪ドル売り圧力は一服しており、3月入りしてから豪金融政策見通しが修正を迫られていることが窺える。
一方、円サイドでは日本銀行の金融緩和が前倒しで実施されるとの観測も浮上している。黒田総裁候補は、追加金融緩和は「スピード感が非常に大切だ」と述べており、4月3~4日の定例会合を待たずに臨時会合を開催して、政策対応を前倒しする可能性がある。このため、臨時・定例のいずれにしても日銀会合までは円売り圧力を後退させるのは難しい状況にある。民主党は岩田副総裁の人事案に反対する方針を固めたが、みんなの党や新党改革、日本維新の会が賛成の方針を固める中、日銀の緩和期待が後退する状況にはない。100円の大台回復を視野に、豪ドル買い・円売り方針は引き続きワークしよう。
今後1週間の予想レンジは、97.540~102.00円。